公的介護保険 その③【介護サービスの種類(在宅/施設)】
公的介護保険(以下、介護保険)の要介護認定を受けたら、どのような介護サービスを受けられるのでしょうか?
今回は、介護サービスの種類について解説します。
在宅サービスと施設サービス
介護サービスは大きく分けると、在宅サービスと施設サービスに分けられます。
在宅サービスと聞くと、自宅で介護サービスを受けることだけを想像しがちですが、施設に日帰りで通う「通所介護」、宿泊を伴う短期的な入所「短期入所介護」も在宅サービスに分類されます。つまり、自宅を拠点とした一連の介護サービスを「在宅サービス」と言います。
施設サービスは、想像の通り、自宅を離れて施設で暮らして受ける介護サービスのことを指します。公的介護施設には、「特別養護老人ホーム(特養)」、「介護老人保健施設(老健)」、「介護療養型医療施設(令和5年までに廃止、「介護医療院」に代わる)」があります。
利用者は、在宅サービスと施設サービスのどちらか一方を選択します。両方を同時に受けることはできません。
要介護度と受けられる介護サービス
要介護度によって受けられるサービスが異なります。
まず、認定が要支援なのか、要介護なのかで大きく異なります。
要支援1・2と認定された場合は、在宅サービスしか選択できません。要支援と認定された方は、リハビリなどによって心身の状態の維持・改善の可能性が高いと判断されているので、要介護へと進行しないように「介護予防サービス」を受けることになります。内容は要介護者向けのサービスと似ていますが、利用者ができることを見つけて、過剰なサポートはせず、サービスの利用を通じて心身の状態を維持・改善することを目的としています。
要介護1~5と認定された場合は、在宅サービスと施設サービスのどちらかを選択します。要介護度が低いうちは、在宅サービスをうまく使い、自宅を拠点とした生活を続ける方が多いと思いますが、要介護度が上がると経済的な問題や、介護する側の身体的・精神的問題から施設への入所を検討する方が多くなります。実際に、入所希望者の多い特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上が入所の条件となっています 。
ケアプラン(介護計画)の作成
介護サービスを受けるには、いつ、どこで、どのようなサービスを受けるかを取り決めたケアプラン(介護計画)が必要です。
ケアプランは自分で作ることもできますが、ケアマネージャーに依頼するのが一般的です。自身の状態に適した介護サービスの選択や費用計算など、さまざまな情報を自分だけで入手するのは時間もかかります。専門家であるケアマネージャーに依頼し、きちんと希望を伝えるようにしましょう。なお、ケアマネージャーによるケアプランの作成費用は無料です(全額、介護保険から支給されます)。
要支援1・2と認定された方は、地域包括支援センターに所属するケアマネージャーに作成してもらうのが一般的です。
要介護1~5と認定された方で、在宅サービスを希望する場合は、居宅介護支援事業所に所属するケアマネージャーに、施設サービスを希望する場合は、入所する施設が決まった後、その施設のケアマネージャーに依頼します。
ケアマネージャーは、ただケアプランを作成してくれるだけでなく、介護事業者への要望の伝達、相談、調整などにも応じてくれます。長い介護生活を不安なく円滑に送るためには、ケアマネージャーとの良好な関係が欠かせません。
まとめ
今回は、介護サービスの種類について、大まかに解説しました。
介護サービスは非常に豊富で、内容は複雑ですが、大きく分けると在宅/施設サービスに分けられます。
「最後まで住み慣れた家で過ごしたい」という方もいらっしゃると思いますが、介護は必ず誰かの手を借りないといけません。介護をする側の事情、そしてお金の問題で、必ずしも希望通りの介護を受けられるとは限りません。
大切なことは、元気なうちに、介護のこと、介護にかかるお金のことをよく知り、「自分が介護状態になったら、どのような介護を受けたいか?それは現実的に可能か?」を想像し、準備をしておくことです。家族みんなで、自分たちの介護プランについて話し合っておきましょう。
次回は、「在宅介護とお金」について解説します。