公的介護保険 その②【要介護認定とは?】
公的介護保険(以下、介護保険)の介護サービスを利用するには、「要介護認定」を受ける必要があります。
今回は、この「要介護認定」について解説します。
介護は突然やってくる。
例えば、こんなことがあるのが介護の特徴です。
- 昨日まで元気だった親が突然、急性心筋梗塞や脳卒中で倒れ、緊急入院し、そのまま介護状態に。
- 一人暮らしの高齢の親が、自宅で転倒し骨折の大怪我。そのまま車椅子生活に。
- 「最近、電話で話す親の様子がおかしいような気が…」と思っていたら、近所を徘徊しているところを保護された。認知症が発覚し、介護が必要に。
親のことについて書きましたが、いつ自分に起こるかも分かりません。
その日が突然やってくるかもしれないのも介護の特徴です。
「要介護認定」を受けるには?
そんな突然のことなので、何から手をつければ良いのか分からず、不安だと思います。
まずは、各地域にある、「地域包括支援センター」を頼りましょう。
介護・医療の専門家に無料で相談することができます。
そして、いざ介護認定を受ける場合、本人やその家族などが各市町村の窓口に申請します。
申請をすると、市町村の職員などの調査員による「訪問調査」が行われます。この調査では全国共通の「認定調査票」の質問事項に沿って、認定を受ける本人の心身の状態や、日常生活の自立度などを確認します。
もう1つ必要になるのが、主治医の意見書です。
最終的に、市町村の「介護認定審査会」で要介護度が判定されますが、ここでは上述の訪問調査の結果と、主治医の意見書の情報を基に、審査が行われます。意見書は本人の状況をよく分かっている主治医にお願いしましょう。
「要介護度」とは?
要介護認定の判定結果は、原則として、申請から30日以内に通知されます。
認定を受けられない場合は「非該当(自立)」、認定を受けられる場合は「要支援1、2」、「要介護1、2、3、4、5」のいずれかの判定になります。
この「要支援1、2」「要介護1〜5」の介護の必要度合いのことを「要介護度」と呼びます。
要支援1が最も軽く、要介護5が最重度の介護を必要とする状態です。
要介護度は、介護に要する手間(時間)をものさしとして、介護認定審査会にて総合的に判断されますので、心身の状態がこうだから、要介護度は〇〇、といった明確な基準はありません。
したがって、あくまで目安に過ぎませんが、それぞれの状態は以下のようなイメージです。
- 要支援1:日常生活はほぼ自立。一部に手助けが必要な場合がある。
- 要支援2:日常生活の一部に部分的介護が必要。リハビリなどで維持・改善の可能性が高い。
- 要介護1:日常生活の一部に部分的介護が必要。リハビリなどで維持・改善の可能性が低い(理解の低下がみられることがある)。
- 要介護2:立ち上がりや歩行が不安定で、入浴、排せつ等でも軽度の介護が必要。理解の低下や問題行動等がみられることがある。
- 要介護3:立ち上がりや歩行、衣服の着脱、食事、入浴、排せつ等で、ほぼ全面的な介護が必要。理解の低下や問題行動等がみられる。
- 要介護4:重度の介護を必要とする状態。介護なしでは日常生活を送るのが難しい状態。
- 要介護5:最重度の介護を必要とする(ほぼ寝たきりの)状態。介護なしでは日常生活を送るのが不可能な状態。
また、要介護認定には有効期限があります。
初めての認定は原則6ヶ月(上限は12ヶ月)、更新認定は原則12ヶ月(上限は36ヶ月)です。
定期的な更新によって、要介護度は変わる可能性があります。
まとめ
介護は突然やってくるかもしれません。要介護認定を受けるまでの流れや、介護の必要度によって要介護度が判断されるなど、 概要を知っておきましょう。
下図は、要介護度別の認定者数を示しています*1。要介護1が最も多く、次に要介護2が続いています。また、男女別に見ると、ほとんどの要介護度で、女性の認定者数は、男性の2倍以上となっています。
自分の両親や祖父母などの姿を想像してみてください。
目安の状態と比べていかがでしょうか?
認定を受けられる可能性がありそうなら、まずは市町村への申請が第一歩です。早い段階で適切な予防措置を受けることで介護状態の進行を予防し、介護する側も介護サービスを利用することで精神的・身体的負担を減らせます。介護保険制度を積極的に利用しましょう。
次回は、要介護認定を受けた後、具体的にどのような介護サービスを受けられるようになるのか?について解説します。