なぜ介護なのか?
さて、この記事では、なぜ介護にスポットライトを当てるのか?についてお話しします。
理由は以下の3つです。
- 「介護」は人生の最も終盤で訪れる
- 「介護」への備えは、まずは「介護」をよく知ることから
- 「介護」される側の準備不足は、家族に迷惑をかける
順番に解説していきます。
「介護」は人生の最も終盤で訪れる
人生100年時代と呼ばれるいま、長生きは喜ばしいことに違いありませんが、一方で大きな「リスク」とも捉えられています。
それは、なぜか?
問題となるのは、お金です。老後資金は多くの方にとって重要な問題です。
老後は、年金を主軸としつつも、年金のみでは満足に暮らしていけません。
老後2,000万円が話題となったように、豊かな人生を送るためには、現役のうちにいかに老後資金を確保できているか、つまり自助努力も重要です。
そして、「介護」は多くの人にとって、人生の終盤に訪れるものです。
リタイア後の年金生活も、はじめのうちは貯金を取り崩しながら、または貯金が少なくとも身体が元気なうちは働いて収入を得られるので、家計もなんとかなります。
しかし、年齢が進むにつれて、想定より速いペースで貯金を使ってしまったり(もしくは思ったよりも長生きしたり)、体力が衰えて働くこともできなくなり、 貯金が枯渇してしまったら…
そんな状況で介護が必要になったら、もう自分の力ではどうすることもできません。
「介護」への備えは、まずは「介護」をよく知ることから
「自分が将来、介護状態になることに不安はありますか?」
このように質問すると、不安がない、という方はほとんどいらっしゃいません。
では、なぜ不安なのかを質問すると、多くの方が以下のように言います。
- どのくらいお金がかかるのか分からない(お金が足りるだろうか?)
- 介護をする側の家族に迷惑をかけてしまうのではないか?
どちらにも共通している点があります。
それは、介護のことが「よく分からない」ということです。
よく分からないから、漠然と不安を感じている方が多いように思います。
一方で、「では介護のためにどのような準備をしていますか?」と聞くと、
- いくらくらい必要なのかよく分からないけど、年金と貯金で何とかする
- できるだけ貯金を多く残せるように節約する
- 想像できない(だから、特にこれといって準備はしていない)
なかには、手を付けないお金として介護資金をきちんと貯金していたり、
老後働かなくても収入を得られる不動産収入などの不労収入を確保していたり、
介護を保障する民間保険、例えば介護状態になったら数百万の一時金、あるいは一生涯年金が支払われる商品に加入していたり、
…など、きちんと対策をされている方もいらっしゃいます。
しかし、残念ながらそのような方は少数派です。
介護への備えをしていない方は、これから始めましょう。
でも、「何から始めたら良いのかが分からない」のが正直なところだと思います。
まずは元気なうちに、介護のことをよく知ることから始めましょう。
このブログを読めば、介護にかかるお金について、分かりやすく知ることができます。
「介護」される側の準備不足は、家族に迷惑をかける
皆さんは、自分が介護状態になったら、どこで誰に介護してもらいたいでしょうか?
- 介護施設で、介護のプロに
- 在宅で、主に介護のプロ(訪問/施設への通所)に
- 在宅で、主に家族に
大体、上記のような答えになると思います。
多くの方が、自分が元気なうちは「家族に迷惑をかけたくない」という気持ちがあります。自分の介護で、家族に肉体的・精神的な負担をかけたくない、せめてお金だけは負担させたくない、と思っています。
でも、実際に介護状態になったとき、十分なお金がないとどうでしょうか?
- プロに頼むお金がないため、配偶者や子供が在宅で介護する。
- 家族が介護できる状況になく、施設入居またはプロによる在宅介護を行う。お金は親の年金・貯金では足りないため、子供たちが出し合う。
もちろん、以前から、介護は家族で(足りない費用も子供たちで出し合うなど)、と話ができていれば別です。「家族に迷惑をかけたくない」、「介護はプロに」と思っていたのに、いざ介護状態になったとき、お金が足りず、家族に肉体的・精神的・経済的な負担をかけてしまうというのは本当によくあるケースです。
「介護離職」という言葉があります。言葉の通り、家族の介護のために離職することです。はじめからそのつもりで準備をしていたなら良いですが、親が突然倒れて介護が必要になり、子供は介護のために仕事を辞めて親のもとに、というのもよくあるケースです。
介護のために仕事を辞めてしまうと、再就職しようとしても仕事がなかなか見つからなかったり、就職できても収入が減ってしまったり、結果的に自分の老後資金を貯められなくなり、その方の介護はまたその子供が…という悪循環になる可能性があります。
もっと広い視野で見れば、少子高齢化の日本では、現役世代労働者の離職は大きな痛手です。今後ますます介護が必要な方は増えていくと予想されていますが、介護のために自分の子供らを離職させてしまうことは望ましくありません。介護のために一人一人がしっかりと準備をすることは、日本社会にとって非常に価値のあることです。
まとめ
下図の通り、年齢層別の介護認定者数の比率を見ると、85~89歳の49.6%、90歳以上の75.9%が介護認定(要支援含む)を受けています*1。
もちろん、介護状態にならずに亡くなる可能性もあります。介護にならずに逝ったら、本人にとってみれば、介護への備えは無駄になるかもしれません。
「自分は介護にはならずにポックリ逝くと思う 」それが理想かもしれません。
しかし、どのような最期を迎えるかは誰にも分かりません。
少し厳しい言い方をすれば、それはまったく根拠のない自信です。
介護状態になったら、確実に誰かの手を借りなければなりません。
介護に対する備えをしておくこと、それ自体で誰かに迷惑をかけることはありませんよね。
まだ元気なうちに、介護に必要なお金は、自分でしっかりと用意しておきましょう。
次の記事以降、まずは公的介護保険制度をはじめ、介護にかかるお金に関してわかりやすく解説していきます。
このブログを通じて、一人でも多くの方が介護への漠然とした不安を払拭し、「万全の準備ができている」と自信を持って言えるようになること、それが私の願いです。